DP1で高感度撮影をしよう

トップの記事が「ランカちゃんかわいいなぁ」なのは一向に構わないんですが、というかむしろ1年くらい「ランカちゃんかわいいなぁ」のまま放置してランカちゃん啓蒙に努めるというのもなかなかいいアイデアですねと少しばかり思ってしまったのですが、それはさておき今日は写真の話をしますね。
ちなみに最近は「星間飛行」だけじゃなく、「ニンジーン loves you yeah!」にもハマっております。

ランカちゃんかわいいなぁ。アス比狂ってるとか作画が明らかに違うとかもうそんなの超越して、ランカちゃんかわいいなぁ。

…違う!!

DP1で高感度撮影をしようという話ですね。
SIGMA DP1というカメラは*1「高感度撮影に弱い」というのが定評になっています。高感度というのはISO1600とか3200とかそういう次元ではなく、「DP1てぶっちゃけISO200までしか使い物にならなくね?」という驚きの評価が巷で囁かれておるわけです。これは根拠の曖昧な主観的な話だとは言えない側面がありまして…もちろん、色々と信頼されている方法で評価検証がされた結果というのもあるのですが、それらも結局は非定量的/主観的っぽい話ですよね。そういうのとは違う方向性の話として、実はDP1はISO AUTOで撮ると感度が200までしか上がらないんだそうです*2。つまり、SIGMA自身が『ISO400以上はちょっとねぇ…』と思っている節があっちゃったりなかったりしちゃったりしてるんじゃないのー?という想像ができるのですね。
そんなこんなで、まずは普通にISO400以上で撮った場合の酷いノイズ具合を見て欲しいのですが…なかなかいいサンプルがないんですなこれが。あからさまな失敗写真は消しちゃってるので…。一枚だけ、私がDP1を(≒カメラを)初めて構えた時にISO800で撮ったものがありましたので、参考程度にご覧ください。

cutie fireplug
cutie fireplug
SIGMA DP1 : 1/20s, f/4, 16.6mm, ISO800, Pattern, Manual, Flash fired
ひーはずかしい。この写真がヒドイのは別にDP1のせいというより、私の腕が………まぁ、ほんとに何も考えずに適当に撮るとこうなる、ということで堪忍してください。このサイズでも背景の林がザラザラになっているのがよくわかると思います。もちろん、拡大しちゃうと一層ヒドイことになっているのが確認できますね。

ほんとにDP1の高感度はダメなのか?

私は知らない分野の話だと聞きかじった情報を「へぇーそうなんだー」とあっさり受け入れてしまいがちなところがあるので*3、ISO400以上はほぼ使って来ませんでした。ファームアップでISO50が実装されたこともあり、ISO200すらほとんど使っていませんでしたね。
しかし10日ほど前、DP1仲間のお知り合いのblogにSD14/DP1の高感度撮影についてという記事が掲載されました。ズバリ、『やり方によってはDP1だって高感度撮影を楽しめるらしいぞ!?』という話です。色々と技術的な話もしてくれているのですが、理論をすっ飛ばして究極に単純に撮り方だけを言うなら露出オーバーで撮って現像で下げろ!」ということでした。
DP1は開放F値が4と非常にレンズの暗いカメラで、しかも高感度に弱いという定説アリ。もちろん一眼じゃないので明るいレンズへ交換することはできませんから、夜には手持ちじゃ全然撮れないカメラなんです、ほんとに。一応Modopocketを手に入れて夜もなんとか長時間露光を楽しむことができるようになりましたが、やはり物足りない。もし夜も上手く撮る方法が身に付けばウン百倍楽しくなっちゃうぞ!!!ということで、すぐさま飛びついて実際に試してみることにしたわけです。

実践編

というわけでこの10日間(のうちの4日間)、夜間高感度撮影を実践してみました。実際の作例と共に、結果をご報告!というより、自分のための復習なんですけどね。ひとまず、割と正攻法で撮れたものを紹介してみます。
今回の写真は全て、ノイズ除去などの現像後レタッチ処理は一切行っていません。SIGMA Photo Proで現像したものそのままです。今後もノイズ除去は基本的に行わない方向でトライアルを進めていきます。また、今回は全て手持ちでの撮影としました。

Day1 2008年12月17日 17:00〜 天候:雨

初日はあいにく雨がぱらつく中の撮影。我慢しようかとも思いましたが、どーしても撮りたくて強行撮影と相成りました。とはいえ、雨の日はあちこち濡れているおかげで光源が増えるので、むしろ好条件だったのかも知れませんね。寒かったりカメラ濡らしちゃ困ったりなんだりかんだりで撮る方は大変でしたけど。

DP1 High-ISO trial Day1-#1
DP1 High-ISO trial Day1-#1
SIGMA DP1 : 1/25s, f/4, 16.6mm, ISO400, Spot, S.P.Auto(+2EV)
最初はISO400で様子を見よう、と何度か試した中の一枚。雨とはいえ17時ごろなので、空はまだほんの少し明るかったかも知れません。しかしこの時点で既に絞りは開放、シャッターも1/25と手持ちの限界に挑戦している状態。+2EVの補正を掛けてはいますが、補正なんかできないよ!開放でも暗すぎるよ!とDP1に怒られながらの撮影です。オーバーで撮って現像で下げると言いましたけど、これ、全く下げてません。ギリギリいっぱいなんです。但し、上げてもいませんが。増感はさすがにタブーですね。
…でも、変なテクニックを使わなくともISO400でこのくらいに撮れるんですね。なんか…いいですよね別に、これだけ撮れれば。右の白い看板にノイズが出てしまってますが、そもそもこの看板はフレームに入ってしまったのがミスということで、見なかったことに…
DP1 High-ISO trial Day1-#3
DP1 High-ISO trial Day1-#3
SIGMA DP1 : 1/25s, f/4, 16.6mm, ISO800, Pattern, S.P.Auto(+3EV)
こちらはISO800で現像露出-2.0。ちょっと現像がキモチワルイなーと個人的には思うのですが*4、ハッキリ言ってこの写真、全然noisyじゃないと思います。逆光状態で手前の自販機のディティールが飛んでるというのもありますが、フォーカスを合わせた八百屋さんの白菜が置いてある辺り、その手前の大根のカゴが置いてあるテーブルの水たまりや木目模様、そしてアスファルトのザラつき。シャープネスかけずにこれだけディティールがクッキリハッキリ出ていれば、ぼかぁ何の文句もないですよ!これ以上の画質があったって、むりやりA3に引き延ばすんでもない限り何の問題もないんじゃないかと思えます。

Day2 2008年12月18日 21:00 天候:雨ではなかった

DP1 High-ISO trial Day2-#1
DP1 High-ISO trial Day2-#1
SIGMA DP1 : 1/20s, f/4, 16.6mm, ISO800, Spot, S.P.Auto(+3EV)
こちら二日目は、光量が十分に足りている中でのISO800、現像露出-2.0。スポット測光で駅名表示板を捉えた上に+3EV補正ということで当然の如く派手に露出オーバー、思いっきり白飛びしてしまいました。これは失敗ですね…。いくらオーバーで撮ると言ってもここまで白飛びしてしまってはダメかな。それでも、その他の部分の描画のシャープさはいいですよね。気になるようなノイズも出ていませんし。露出にさえ失敗しなければいい写真になったのかな…?
ただ、原理的に言えば、白飛びしている部分というのは一切ノイズが出ないわけで。一番目に飛び込んでくる部分をあえて飛ばすというのも、もしかしたらテクニックとしてアリなんじゃないかと思いました。
余談ですが、写真撮ってると普段は目に見えていない物が写って驚きますよね。霊とかじゃないですよ。この写真だと、天井を濡れ雑巾で拭いた跡とか。クッキリ写ってしまってておもしろいですね。更に拡大すると手形とかついてて笑えますよー。

Day3 2008年12月18日 17:00 天候:くもり

三日目…と言いつつ実はDay2と同日、より早い時間帯に撮ったRAWの現像を忘れていただけなのですが、条件がそれなりに違うので三日目ということにしてしまいました。ご愛敬ご愛敬。時間は初日とだいたい同じ夕方17時頃、課題に追われる中むりやり10分ほど空き時間を作り急いで撮った写真たちです。まだギリギリ空が明るい頃でしたね。

DP1 High-ISO trial Day3-#2
DP1 High-ISO trial Day3-#2
SIGMA DP1 : 1/10s, f/4, 16.6mm, ISO800, CenterWeighted, S.P.Auto(+3EV)
手持ちでのシャッター速度はどこまで稼げるのか?ということで、ここでは1/10秒に挑戦しています。さすがに壁に体を固定して撮りましたが、案外なんとかなるもんですね。元々開放絞りで撮ってんだから、多少ブレてようがバレやしねぇや!という開き直りも得ることができました。これは大きな収穫…でしょうか?
FlickrのLargeサイズくらいまでならとりあえず鑑賞に堪えますが、ビルの壁やアスファルトなど若干noisyな印象があります。先ほどの白い看板同様、白っぽい部分や色の単調な部分ではノイズが目立ってしまうことがわかりますね。
気になるのは、中央のビルの白い壁に影が入り綺麗な3トーンに分かれている部分。ここは縮小した時にJPEG圧縮ノイズが出ちゃってるみたいです。拡大するとそんなにひどいノイズでもない感じがするんですが…

ちょっと特殊なケースですかね。プリントするのであればさほど気にならないかも知れません。
DP1 High-ISO trial Day3-#4
DP1 High-ISO trial Day3-#4
SIGMA DP1 : 1/15s, f/4, 16.6mm, ISO800, CenterWeighted, S.P.Auto(+3EV)
比較的明るい被写体として、服屋さんのディスプレイで一枚。こちらは壁がなかったので、完全手持ち1/15秒です。…はい、見事にブレましたね。ただちょっとお気に入りだったので、シャープネスを最大限に掛けてごまかそうとしています。全くダメでしたが。手持ちの限界点は1/20秒近辺かな?技術で1/15くらいまでは到達できそうな感触がありますけどねー、どうですかねぇ。
あ、ノイズに関して言えばなかなか優秀な画になってるかと思います。はい!

Day4 2008年12月24日 17:00〜17:30 天候:曇り

イブの夜も一人さみしくふらふら撮影。また17時ですね。暗すぎず明るすぎずを狙うと大体このくらいの時間になっちゃうんですよねー。

DP1 High-ISO trial Day4-#1
DP1 High-ISO trial Day4-#1
SIGMA DP1 : 1/20s, f/4, 16.6mm, ISO800, CenterWeighted, S.P.Auto(+3EV)
さて、そろそろ必要な光量というのがわかってきました。このくらいならちょうどいいだろう、と狙って撮れた一枚です。現像してみたらほぼスバリでしたね。中央左のネオンにスポットライトが当たっていたため思ったよりも明るく、飛び気味になってしまいましたが…まぁ、いい感じいい感じ。現像で-2EVした上でシャドウを深く、コントラストを強めにしてさらに暗部を潰しています。
って、こうして書いてみたら全然ズバリじゃないですね!?露出を下げても追いつかずさらに潰す必要があったということは、つまり明るすぎたということですよね…。これならいっそスポット測光で撮ってもよかったのかなぁ。そうすれば手前のおっちゃんも上手く潰れたかもしれない。
やはり中途半端に暗い、色の単調な部分…ここでは1F天井にグリーン被り気味のノイズが出ていたり、右上のオレンジ色の壁部分もノイズが見えますが、まぁ、こんなもんかなぁ?悪くはないと思うんだけどな。
DP1 High-ISO trial Day4-#2
DP1 High-ISO trial Day4-#2
SIGMA DP1 : 1/20s, f/4, 16.6mm, ISO800, CenterWeighted, S.P.Auto(+2EV)
最後に一枚、不思議なフレアの入った写真を。なんでこうなったのかはよくわかりませんが、おもしろいのでなんでもいいです!解像感に関しては言うこと無いですね。壁のテクスチャ、陰影クッキリ。シャープネスは全くかけてないですよ!

総括:高感度、使える?使えない?

さてさて明石家サンタも終わったことですし、そろそろ総括としましょう。DP1の高感度撮影、皆さんはどう思われましたか?
個人的には、DP1の高感度は「思ったより全然楽しめる」と思いました。もちろん被写体は選びますし、JPEGで撮るなんてもってのほかですし、DP1の液晶で見るRAWは露出オーバーでわけわからんし…「実用的に問題ない」という言葉を使えるかどうかは、各個人の用途など様々なことに左右されてしまうと思います。
ただ、私はそれらも含め楽しめていますし、最終的な画質に不満もありません。そう、私の判断基準は「楽しめるかどうか」です。正確には、「不満のない画質の写真を楽しんで撮れる」と言うのが正しいのかな?私は他のカメラを持っていないので比較したりという相対評価はなかなかできないのですが、絶対評価として「楽しい!」というのが率直な感想です。

用途を基準とした評価

プリントして楽しむ場合、L版やせいぜい2L版くらいならば、このくらい撮れていれば問題ないでしょう。300dpiでA4(=3564*2520px)くらいまではなんとかいけちゃうんじゃないのかな?さすがにdenoiseかけないとキビシイかな?そのうち自分で何か作る時に素材にすることも出てくるでしょうから、その際には再度印刷の仕上がりも含めて話ができたら面白そうですね。
撮った写真をPCの壁紙にしたりもするんですが、私のモニタはWUXGA=1920*1200px。Win版SIGMA Photo Proの最大出力=4573*3048pxの画像を16:10に無劣化トリミング、その後縮小ソフトで縮小して貼り付けていますが、ノイズでイライラすることはありません。これ以上にノイズが問題になるような使い方なんて、それほどないんじゃないでしょうか。雑誌に載せる写真を撮るようなプロユースの一眼と比べるのは、そもそも土俵が間違ってますしね。
高感度のトライアルはその他のテクニックも含め、まだまだ遊んでいく予定です。次回はちょっと違う方向性のアプローチを試してみる、かも。

*1:正確には「foveonが」と言うべきかなとも思いましたが、TRUEとの兼ね合いもあるでしょうし…とりあえず一般化しないでDP1の話として進めますね!

*2:伝聞ですみません。ISO AUTOって使ったこと無いもので…。ファームアップで追加されたISO50はAUTOでは選択されないということでしたから、つまりISO AUTO=100or200ということになりますね。二択でAUTOって言い張るのもすごい話だ。

*3:というか、初心者の頃ってとりあえずそんな感じで広く浅く知識を身に付けて、それから深く入っていきますよね?危険かな?

*4:しかしなぜか一番閲覧数を稼いでいる。なんでだろう。絶対キモチワルイのに…。