頑張れキャッチのお兄さん

道行く女性をなりふり構わず呼び止め、しつこく追い回すキャッチ兄ちゃん。
周知の通り俺は女性ではないので直接的に不快だということはないのだが、やはりあの姿を見ると不快感を禁じ得ない。女性には申し訳ないが、これは「男に生まれてよかった」と思う理由の一つに挙げる程である。
しかしそんなキャッチ兄ちゃん業界において、今日、輝く新星を見つけたのだ。
以下はその新星キャッチ兄ちゃん(以下、新星)と女性の会話の記録である。

新星
「お姉さん!ちょっといいですか!」
女性
「……(下を向きつつ無視)」
新星
「僕ね、"お店"のスカウトやってるんですけどね」
女性
「…」
新星
「いや、うちは怪しいお店とかじゃないんすよ。あーお姉さんおキレイですね!うちはちゃんと許可取ってるお店でね…」
女性
「……」
新星
「あ、荷物持ちましょうか?

持たせるわけないだろおおおおおおおおおおああああ!!!!!!!11
間違いない。彼こそまさしく、キャッチ業界に現れた"真性"である。
…実は、根はいい人なのかなって思ったんだ。キャッチなんかやらないで、素のままの、優しい彼でいて欲しかった。でも彼だってきっと、いろいろあって今キャッチをしてるんだ。彼は18の時、田舎から身一つ、ギターケースだけを相棒に上京してきてね。夢に向かって彼なりに頑張ってはみたものの、都会の風は厳しかった。東京の冷たい空気には馴染めず、遠く離れた恋人を泣かせる日々、親にも拾った10円玉でほんのわずかな声を聞かせることしか出来ず…。結局一年もしないうちに恋人とは別れ(以下妄想につき割愛)