最近、「サザエさん」をまとめ買いされた方へ。

前略
2007年12月3日21時〜翌4日21時までの間に、23区内某所のブックオフにて、姉妹社刊「サザエさん」最終巻(68巻)を含む合計20〜30冊ほどをまとめ買いされた方。私は、貴方を探しております。
申し遅れました。私は、貴方よりも前に同店へ訪れ、「サザエさん」1〜10巻と13,14巻*1を購入した者です。
出会いは、3日の21時のことでした。「天才柳沢教授の生活」14巻以降や「羊のうた」6,7巻、「いばらの王」2巻と5,6巻などなどを探すため久しぶりに訪れた、あのブックオフの100円棚でのことです。
それはまさに、奇跡の出会いと形容する他ありません。私の狭い行動圏内では陳列されていることすら珍しい、しかもカバーに軽い経年カスレこそあれほとんど日焼けのない「美品」と言える状態、そして100円で並んでいるというその奇跡に、私はすぐ、まとめ買いを決めたのです。
しかし、迂闊でした。14巻から数巻を挟んで40〜50巻台まで大幅に中抜けしていた為、そして持ち帰る際の労力も考え、上記12冊のみを買うに留めてしまったのです。翌日また買いに来ればよい、と。
まさか、まさか、たった24時間。いや、営業時間で言えばほんの12時間余りの間に、貴方がその残り全てを買ってしまうなどとは、全く思いもしませんでした。仕事と勉強を終え、急行2本を乗り継ぎ急ぎ降り立ったその地での私の落胆は、貴方のご想像よりも、もっともっと、更に一層深いものであったと思っていただいて、まず間違いありません。本当に、残念なことでした。
貴方を捜し出して罵倒しようなどというわけではありません。悲しさや悔しさをぶつけたいわけでも、貴方のことを物欲しそうな目で見つめるわけでも、いや、ほんとはかなり見つめますけど、あぁえっとそうじゃなくて、とにかく、私はその既に貴方の物となったサザエさんが欲しいわけではないのです。ただ、一つ、お願いしたいのは。
その本を、出来る限り、大切にしてあげてください。
一部のカバーは折り目が付いていたようですが、これ以上折り目を増やさないでください。日焼けがほとんどない素晴らしい状態の物、出来る限り日焼けせぬよう、本棚へしまってあげてください。本棚から取り出す際には、カバーの上カドを破いたり傷めないように気をつけてください。食べ物を食べながら読まないでください。読み途中で席を立つ時には開いたまま伏せたりせず、しおりを軽く挟んで閉じてください。大事に、大事に扱ってあげてください。
私が貴方の本の読み方や扱い方にとやかく注文を付ける権利など持ち合わせていないこと、十分に承知しております。でもただ、貴方が買ったその本を、こんなにも手に入れたかった人間が少なくとも一人、ここにいるのです。そんなことを、どうか忘れないでください。私に出来るのは、私の手元からこぼれ落ちていったそのサザエさんが大切に扱われることを願い、そして、また新たなサザエさんと出会う日を待ち続けることだけ。ただそれだけしかないのです。どうか、どうか、お聞き入れください。
そしてもしも、貴方がその本を手放さなくてはならなくなった時には、是非とも私までご連絡を。
草々

*1:とそして「別冊サザエさん」3巻も